9.デスビ化 至難

 C90の点火回路には古い自動車と同じ様にディストリビューターが使われています。
自動車の場合はエンジン電気システムがエンジンルームに収まっていますから直接雨風に曝される心配はありませんが、オートバイはエンジン電気システムがむき出しで過酷な環境下にあります。
その為に湿気やホコリで点火不良を起こしやすく故障の原因となり、50年代後半にはディストリビューターを利用した点火回路は廃止される様になっていきます。
 本来、ディストリビューターが取付けられていたC90や初期C92の多くは既に故障が原因で同時爆発タイプのツインコイルに変更されている物がほとんどです。
難易度の高い再生ではありますが、本来の姿に戻し、しかも本来取付けられている位置にイグニッションコイルを取付けられないものか試してみます。
 入手時の状況は、ディストリビューターキャップは焼損変形し、ディストリビューターローターは異常摩耗して使用限度を超していました。
イグニッションコイルはC92用の同時爆発タイプのツインコイルがフレーム内部に転がっている状態で、本来のコイルは欠品跡形もありませんでした。
 イグニッションコイルの正規取付け位置はダイナモ後部のギヤーシフトスピンドル上部です。
この位置に取付け可能なイグニッションコイルを探す事から始めました。
何とか収まりそうなコイルを付けてみます。
ギリギリで収まりましたがアース側回路の配線を作る必要がありました。
キャップとローターは摩耗の少ない良品と交換します。
とりあえず仮設状態でエンジンを始動してみます。
キック1発でエンジン始動、アイドリング良好です。

 新品のデスキャップとローターに交換します。