ADDRESS V100N

　アドレスＶ１００の整備を承りました。
不具合内容は、車速上昇不良、温間時に最高速が６０km/ｈ程度に低下です。
購入店でベルト切れの修理を受けたのですが症状は改善されていないとの事です。

　クラッチカバーを取り外し点検します。
クラッチハウジングナットが緩んでいました。
クラッチハウジングがクラッチカバーと接触した形跡があります。

　ムーバブルドライブフェイスを点検します。
ムーバブルドライブを分解清掃し組み立てます。
ムーバブルドリブンはドリブンフェイスの摺動部が固着していました。
これが原因で変速不良を起こしていたようです。

　ムーバブルドライブを外したついでにスターターピニオンも分解清掃します。
分解清掃組立後、スターターを回してピニオンギヤがリングギヤまでスムーズにストロークしギヤが確実に噛み合うかを確認します。
　組み立て後、不具合が再現するか確認の為、走行テストを行います。
平坦路では不具合が再現されませんでしたが、約３０ｋｍ走行、山岳路で登坂中にベルトが破断し走行不能となりました。

　ムーバブルドリブンフェイススリットのオイル溝付近が摩耗しています。
この部分にムーバブルドリブンフェイスピンが引っ掛かった際に不具合が発生するようです。
ベルトが破断した状態のまま分解し、ムーバブルドリブンフェイスのプーリー位置を確認すると、段付き摩耗している部分で引っ掛かった状態でした。

　スズキ純正部品で合計３２点の部品を取り寄せました。
フィクストドリブンフェイスの新旧比較です。
古い部品のシャフトが焼き付き、ピン穴が広がっているのが一目瞭然です。

　油圧プレスでベアリングを圧入します。

　フィクストドリブンフェイスにピンを取り付け、ムーバブルドリブンフェイスを組み立てます。
ムーバブルドライブローラー、ダンパー、オイルシールも新品に交換します。