Restore Shop
泉の森自転車店
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 キックがスカスカで左コンプレッションが僅かしかありません。
エキゾーストポートには大量のカーボンが堆積しています。
エンジンを取り外して内部の点検に掛かります。

 カムチェーンが伸びきってテンショナーが効いていません。
カムチェーンを張った状態でTDCのカムシャフト位置を点検すると大幅に狂いが生じています。

 カムチェーンチャンバーシールとヘッドガスケット左側が吹き抜けています。
吹き抜けの原因は自作らしきシリンダーヘッドカバーガスケットでブリーザーシールドを塞いでいた為です。
インテークロッカーアームクランプピンの左側が焼き付いていました。

 前代未聞の状況です。

 ......

 洗い油は黒い海となり大量の廃棄物と化しています。
 そして...ひたすら...磨き...無の境地です。
 部品清掃だけでも丸三日掛かりました。

 シフトドラムを取り付け、メーンシャフトとカウンターシャフトのベアリングを交換し組み立てます。

 アッパークランクケースに清掃した部品を組み付けます。

 クラッチ、ダイナモを取り付けシリンダーを組み立てます。

 エンジンを搭載します。

 エアークリーナーエレメントは湿気と埃で真っ黒です。
イグニッションコイルは二次側の導通が無くハイテンションコードが断線しています。
根本から10センチのところで抵抗を測定するとコイル内の二次側も異常値を示しています。

テスト用の部品に取り替えてエンジン始動を確認します。
 左マフラーのジョイントから排ガスが吹き出しています。
ヒートシールドを外して確認するとマフラーパッキンが欠落していました。
マフラー内部はオイルでコテコテです。

 電気系統の修理に掛かります。
診断の結果ハンドルのウインカースイッチからライトケース内のメーンハーネス間で導通不良が見つかりました。
スイッチを分解してコンタクトポイントを清掃します。

 ホーンも取り付けてあるだけで結線がされていません。
カバーを外し内部を点検します。
ターミナル部分が腐食し抵抗過大になっていました。
ターミナルを交換しコンタクトポイントを清掃します。
電流を流しバイメタルのテンションをアジャストスクリューで調整します。

 CS92のキャブレターはCS専用でC92とは内部の部品が異なります。
識別の為にボディーフランジ部分にSの刻印が入っていますがこのキャブレターにはそれが見あたりません。
キャブレターの内部構成を見てみるとC92用の構成でした。
スロットルバルブ、ニードルジェットホルダー、ジェットニードル、メーンジェットを交換しキャブレターセッティングを行います。
ナンチャッテCSで良ければ簡単ですが、本物のCSに仕上げるにはシビアなセッティングが必要です。
具体的には、メーンジェットのサイズ以外に、スロットルバルブのカッタウェイ、ニードルジェットホルダーのエアーブリード径、ジェットニードルのストレート径とテーパー角度でシビアに調整します。