12.アッパークランクケースの再生

 レース使用を前提に設計されたベンリイ2気筒のエンジンは整備性に秀れています。
エンジン脱着を含むクランクシャフト交換は4時間あれば充分可能です。
とは言っても、それは分解組み立て直後の再整備の時間で、実際はケースに固着したガスケットやスラッジなどの除去に、分解組み立て時間以上の時間と労力を 費やします。
組み立ては分解時と逆の手順で進める事になりますから最後に分解した部品から清掃作業を進めていきます。
 まずはアッパークランクケースから綺麗に清掃します。
初期型C90のクランクケースはC92とは比較にならない位にアルミの鋳肌が均一に整っています。
表面のざらつきや皺が全く無くムラがありません。
今までに見た鋳物の中で最も見事な出来映えの物と言えるでしょう。
洗浄液で脱脂後、少し磨いただけで写真の様な光沢が現れました。
52年前に製造されたオートバイのエンジンとは思えない過剰なまでの品質です。