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泉の森自転車店
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 リヤークッションの分解整備です。
59年に生産された60年型初期C92も若干の変更点はありますが、基本的にはC90と同じ倒立タイプのリヤークッションが使われています。
この倒立タイプ(単筒式)のリヤークッションは、後期の正立タイプ(複筒式)とは全く違った乗り味で、如何にも初期プレスと云う乗り味がします。
良いコイルスプリングが使われたクッションなのですが、如何せん年代物(単筒式)でダンパーオイルの劣化が作動に顕著に現れています。
良質なダンパーオイルに換えてやると見違える様に蘇ります。
今回の整備のメインとなる作業です。
しかし「甘い物には毒がある。」
大変リスクの高い作業でもあります。
 作業に掛かりましたが、早速高いハードルが待ち構えていました。
ネジが固着しています。
潤滑スプレーを充分浸透させてから、ヒートガンで周囲を暖めながら取り外しました。

 アンダーケースが外れるとコイルスプリングが出て来ます。
コイルスプリングからストッパーラバーを抜き(C90とは形状が違いスプリングシートは無いラバー単体)コイルスプリングをポリッシュします。
ダンパーユニットは特製治具を使ってロックナットを緩め内部を分解します。
片側のダンパーロッドに傷が見付かりました。
ロッドの損傷部分を研磨修正し、摺動性を向上させる為、ダンパーロッドとガイドブッシュをテフロン加工しました。

 初期プレスのリヤークッションの基本構造は同じですが、C90とC92では各部に細かい変更が加えられています。
凄いスピードで開発改良が行われていたかが、こういった部品の比較でわかります。

 パーツリスト上ではハブベアリングは6202(オープン)ベアリングが使用されているとされていますが、この車輌のフロントハブには左側に6202Zが使われていました。今回使用したのは非接触ゴムシールの6202LLBをベースに加工した特製のベアリングを使用します。
スピードメーターギヤーボックス側のダストシールは新品のTC型オイルシールを使いました。
リヤーハブのベアリングは両サイド共オープンが使われています。
ダストシールは今ではあまり見掛けなくなった金属シェルのB型オイルシールです。
これはオリジナルに拘って現行新品のB型オイルシールを取り寄せて交換しました。

 組み立てが完了して、いよいよ試運転です。
58年型C90と比較して60年型C92のリヤークッションは格段にしなやかな動きをします。
整備後は良く廻るエンジンに見合った、良く動く快適なサスペンションになりました。