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泉の森自転車店
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 2005年12月30日午前8時20分起床。
朝食も取らずに歩いて駅へと向かう。
小さな旅行かばん1つを肩から掛けて歩いている私を見て、韓国に行こうとしているなどとは誰一人想像も付かないだろう。
航空券の予約さえしていない。
当然、韓国に着いてからのホテルの予約もである、
ストレスで押し固められた日常から脱するのが本当の旅だと考えている。
心の中で悪魔が囁く、「空きってもんは何処にだってあるぜ!タイミングよ、タイミング!人が諦めた時に行きゃいいんだよ!」
 9時過ぎに南海泉佐野駅に着いた。
次の関西空港行きの電車は9時15分発、ホームで缶コーヒーを買って飲む。
風も無く今日は暖かくなりそうだ。
関空急行は定刻9時15分に発車した。
電車は7分程で関西空港に到着した。
3階の国際線ターミナルに向かう。
韓国釜山へは、大韓航空、アシアナ航空、日本航空の3社から出ている。
まずは、融通の利く大韓航空の窓口に行ってみた。
「受付は10時40分からです。」と書かれているが、奥に居る受け付け担当者を呼び寄せ予約を取る。
「釜山行き、今日出発、帰りは1日、往復1名で空きが有れば予約して下さい。」
「はい、空席御座います。10時40分に受付が始まりますから10時40分になりましたらお越し下さい。」
やはり、悪魔の勝利であった。
 朝食がまだなので2階の食堂街に行き朝食を済ませる。
待ち時間に退屈だろうから本屋で文庫本を2冊買っておいた。
小遣いが足りないと困るので銀行で金を下ろしたいのだが、三井住友銀行が見当たらない。
案内所で聞くと、「あいにく三井住友銀行のATMは御座いません。東京三菱なら御座いますが。」との事。
仕方がないので東京三菱銀行で引き出した。
 11時前になったので大韓航空の窓口に行きチケットを購入、出国審査へと向かう。
日本での出国審査はいたって簡単、こんなので良いのか?と、何時も思う。
大韓航空KE732便は北ウイング10番ゲートからの出発となる。
途中、スタバでコーヒーを飲み時間調整してからシャトルに乗り10番ゲートへと向かった。
 釜山行きの乗客が10番ゲート前に集まりだした。
ファーストクラスの乗客から順に搭乗が始まる。
その後、エコノミークラスの乗客が二手に分かれて搭乗を待つ。
まず最初に韓国語で案内するのだが、この時点で動き始めた人は、おそらく韓国語を理解しているのだろう。
私の後ろに居た女の子も案内のアナウンスに合わせて動き出した。
日本語での案内が済むと、どちらに行けばよいのか迷っている人も列に並び、搭乗が開始された。
 私は一人だし、途中でトイレに行きたくなると、隣の人に迷惑を掛けるので、何時も通路側の席を指定する。
私が席に着いた時には、まだ隣には誰も座っていなかった。
腰を下ろすと、先程後ろに居た女の子が韓国語で「席は何番ですか?」と尋ねてくる。
どうやら私の隣らしい。
騒がしい日本人の隣でなくて良かった。
たかが1時間ちょっとのフライトの間に、ビールをあおって騒ぐのは日本人の団体位のものである。
 時間の遅れも無くKE732便は離陸を始め、高度を上げて機が安定した頃に機内食が配られた。
腹が満たされると眠くなってきた。
うつらうつらしている間に機は高度を下げ、間もなく、金海空港(キメコンハン)へと着陸の態勢に入った。
 幸いなことに韓国も天気良好の様である。
タラップを降り、バスに乗り込む。
金海空港では空港ターミナルまでバスで移動する。
このバスでの移動が、なんとなくローカルで私は気に入っている。
バスが入国審査場横の自動ドアに横付けされ、そこで乗客が降りる。
私は列に並ぶのが苦手なので、先にトイレに行き、ゆっくりと入国カードを書いてから、韓国人の列が無くなったのを待ってから、韓国人入国審査の所で審査を受けた。
私はそのまま入国ゲートを出ようとして、係員に制止された。
「申告書を書け!」と言ってくる。
「なんだ、そりゃ?」
どんな大層な物かと思いきや、麻薬は持ち込んでいないか?とか、そういった感じの、「はい」と答えるはずのない時間の無駄としか言い様のない内容の物であった。
心の中の悪魔が「おちょくって、"はい"と答えろよ!」と呟く。
心の中の気の弱い天使は「そんな事したら、強制送還させられてパスポート没収されますよ。」と囁く。
どちらに丸をしたかは兎も角、無事韓国に入国する事が出来た。