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泉の森自転車店
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 入国審査場の自動ドアが開くと、その先に空港ロビーが広がる。
一度、建物の外に出てタバコを一服、吸う。
ここの灰皿(チェトリ)を見ると韓国に来たんだなと実感する。
大きな壺に砂を一杯入れた、いかにも韓国的な灰皿が気に入っている。
 一服してから再びロビーに行き、釜山銀行で両替を済ませる。
レートは830、なんてこった!
5万円で42万ウォンにしかならない。
日本人観光客の多い時期は最悪だ!
前回、ウォンを残して置けば良かったと思う。
腹が立つので少しだけウォンに替えて、残りの金は円のままにして置いた。
 私は韓国に来ると何時も携帯電話を借りる。
空港ロビーに携帯電話会社のカウンターが有るのでそこでレンタルする。
レンタル料はとても安い。
私の場合、ほとんど韓国国内にしか電話しないので、3日借りて2000円にもならない。
 用事を済ませたので、表に出てタクシーを拾う。
韓国のタクシーは、いわゆる、青タクと黒タクの2種類が有り、一般に黒タクは少し料金は高いがカタコトの日本語をしゃべれる運転手が多いらしい。
どちらにしても人には個人差という物が有るので、あまり期待しない方が良いだろう。
 当然、私は安い方を選び、韓国では珍しいデブッチョの男が運転するタクシーに乗り込んだ。
先程から何度も韓国の友人に電話しているが、一向に繋がる気配が無い。
デブッチョの運転手、欲の無さそうな顔をしているので、運転手を信用して少し昼寝する事にする。
うつらうつらして、ふと目が覚めるとホテルまで5分程の所まで来ている。
道は然程混んでいなかった様子だ。
車はホテル前に着いた。


運転手に礼を言ってタクシーを降てホテルに入り宿泊の受け付けをする。
フロントマンが「予約されていましたか?」と聞いて来た。
このホテルには以前からお世話になっている。(色んな意味で。)
パスポートを見せるとフロントマンの態度だ変わった。
2泊分の料金を支払ってキーを受け取り、その場を去ろうとすると、フロントマンが「こちらの部屋の方が静かなので替えましょう。」と言って来た。
キーを替えてもらいエレベーターに乗って部屋に向かった。
 ホテルの部屋に入りシャワーを浴びてから、貴重品だけをショルダーバッグに詰め込み、釜山探索の準備を済ませる。
フロントマンにキーを預けてホテルをあとにする。
ホテルの前の道を左に出て영주시장길(ヨンジュシジャンキル)に向かう道へと下りて行く。



キツイ下り坂を仰け反る様に歩いて行くと、日本でも昔見た事の有る様な懐かしい風景が目に映る。
私は釜山でこの辺りの風景が一番好きだ。
少し下って行くと、40階段の上に広がるヨンジュ市場に出て来る。
この辺りで日本人を見かけた事は一度も無い。
いくら韓国的な風景が見れたとしても、この坂道と階段に隔離された場所に、わざわざ訪れる日本人観光客など居ないだろうと思う。
ヨンジュ市場の道を歩き、細い路地の見落としてしまいそうな階段を下りる。



そこを通ると地下鉄の中央洞駅への近道となる。
坂を下りた正面に韓国外換銀行のビルが見えた。
駐車場の角に1坪程の掘建て小屋のたばこ屋が在る。
独房の様に見える。
並べられたたばこの隙間から婆さんの目だけが見えている。