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泉の森自転車店
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 大雄殿の前に国宝の「多宝塔」と「釈迦塔」が立っている。それぞれ対照的な姿であるが、これほど見事な石塔は他では見る事が出来ないであろう。
 ここに来て芸術的建築物に対する見方や考え方が変わった様に思う。今までは全体的な印象に囚われていたが、視点を変えてそれぞれを見詰め直す事により、空間の広がりを感じるのだと深く感銘した。


 境内を出て、帰りに仏教工芸品の土産物店に立ち寄った。建物の中に入ると香のにおいが漂っていた。高級な掛け軸などが並べられている。私には不釣り合いな場所なので早々に退散しようと思ったが、1枚の布に印刷された詩に目が留まった。
「初めて空に飛び立った小鳥のように、初めて土から出た新芽のように...」
筆で書かれた達筆な字なので私には容易に読み取る事が出来ない。
それを見てお店のおばさんが「韓国語が読めるのですか?」と声を掛けてくれた。
おばさんが読み方を教えてくれた後で、店に置いてある手持ちの日韓辞典を取り出して、「新芽」を辞書で引き、「新芽を若芽とも言うのですか?」と聞いてきた。
「わかめと読みます。音読みで若い、訓読みで、じゃく、にゃく、です。」
私は辞書を借りて「若い」を引いてあげた。韓国では「若」を「ヤク」と読む様だ。
「日本で、旅は道連れという言葉が有りますが、何故、旅に道を連れて行くのですか?」
この質問にどう答えようか迷ってしまった。
「旅は人間の一生、道は人間の人生。」
韓国語に直訳して答えてみた。
「そうですよね...」
「また、お会いしましょう。」