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泉の森自転車店
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 釜山から約1時間で東大邱(トンデグ)に到着した。慶州(キョンジュ)に行くにはここで乗り換えなければならない。接続時間は10分ほど有る。待ち時間 の間にトイレを済ませておこうと思い、トイレを探すが何処にも見当たらない。ホームを行ったり来たり、跨線橋を行ったり来たりするが一向に見当たらない。 改札の外に有るのだろうか。改札の外に出るには無人の自動改札を通らなければならない。はたして自動改札で途中下車出来るのだろうか。恐る恐る自動改札機 に切符を通してみる。切符が機械に吸い込まれ、一瞬不安が脳裏を過ぎる。コンマ何秒かの静寂の後、無事切符が通り抜けた。
 改札を出ると案の定、その右手にトイレが有った。トイレを済ませ駅舎の外に出てみる。時間に余裕がないので駅前から景色を覗いた程度だが、小高い丘から街を見下ろす様な感じで、市街地の外れである事が伺える。

 接続列車の到着時間が迫って来たのでホームへと向かう。ホームの反対側の線路に各駅停車の汽車が入線して来た。ディーゼル機関車の凄まじいエンジン音が ホームに響き渡る。どれ位の排気量が有るのだろうか。日本のDD51など比較にならない程の重低音だ。しかもマフラーから吐き出される排気は非常に抜けが 良く、周囲の空気を強く震わせている。 慶州行きの特急列車は数分遅れて入線して来た。
 ソウル発、蔚山(ウルサン)行きの特急セマウル号が約5分遅れでようやく入線して来た。車内に乗り込み席に着くと、間もなく列車は走り出した。
 大邱市内を抜けると車窓はのどかな田園風景と変わり、汽車がよく似合う小駅を通過して行く。なだらかな丘陵を幾つも越えて列車は快調に走っている。単調 な風景と言ってしまえばそれまでだが、日本とは少し趣の違った半島独特の風景が時間を忘れさせ、心を落ち着かせてくれる。
 列車は永川(ヨンチョン)に到着した。ここ永川で中央線と分岐する。永川を発車すると列車は目的地の慶州に向けて進路を変更する。
 東大邱を出て約1時間半、列車は慶州駅に到着した。出口のステップに足を乗せ低いプラットホームに降り立った。ホームに掛かった屋根の柱や外灯のデザインが韓国の伝統的な模様を描いている。
 地下道をくぐり抜けて駅舎へと向かう。地下道を上がると色鮮やかな花が乗客を迎え入れる。観光地の玄関駅、見事なまでに絵になっている。


テグ【大邱】
(Taegu)韓国慶尚北道南部、大邱平野の中心にある都市。道庁所在地。政治・交通・商工業の中心地。朝鮮三大市場の一。人口225万5千(1995)。

キョンジュ【慶州】
(Kyngju)韓国慶尚北道南東部の都市。新羅900年間の都。新羅時代は金城・金京と称。付近に法興王と武烈王の陵、仏国寺・石窟庵・金冠塚などの史跡が多い。人口12万7千(1985)。キョンジュ。

ウルサン【蔚山】
(Ulsan)韓国慶尚南道の都市。北東部に、1597年末、加藤清正らが明・朝鮮軍に包囲された城の址がある。沖合では1904年8月、日本とロシアの艦隊が海戦を行なった。石油化学などの工業が発達。人口68万2千(1995)。
広辞苑 第五版 (C)1998,2004 株式会社岩波書店