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泉の森自転車店
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 広い通りから1本裏に入った筋を50mほど行くとモーテルの看板が見えた。日本人がモーテルと聞くと、昔からやってるボロいラブホテルを想像するが、韓国ではそう云った悪いイメージはあまり無く、日本の民宿程度の宿だと考えれば良い。
 私はこのモーテルを一目見て、ここに泊まろうと決めた。決めた理由は、前庭が有る事、入り口が比較的広い事、バスターミナルから近い事、そして何より決定的な理由は、もうこれ以上、重い荷物を提げて歩くのが辛かったからだ。
 受付には人の姿はなく、中を覗くと扉の向こうの部屋で女性3人が昼食を取っていた。その中の姉御肌の一人が出て来たので「空き部屋有りますか?」と尋ねてみた。
「ひとり?」
「はい。おいくらですか?」
「1泊25000ウォン。」
「1泊お願いします。」
「部屋はどっちにする?」
「オンドルで...」
即決で今宵の宿が決まった。
 タオルと鍵を受け取って部屋に案内して貰う。部屋に入ると丸い蛍光灯が床に転がっていた。おばさんは台の上に乗って蛍光灯を取り付ける。
「昨日、お客さんが外してしまった。」と、嘘っぽい言い訳をしている。
「そこのカバー取ってくれる。」
カバーを手渡し作業が終わると、「OK出来た。」 と、言ってニッコリ笑っている。
 最初はきつそうなおばさんかなと思っていたが、話しをしているとそうでは無さそうだ。
 シャツを着替えたら、すぐ観光に周ろうと思っていたが、大の字に寝転がると心地良くて、そのまま1時間ほど寛いでしまった。時計を見ると14時になっている。カメラと財布だけを持って部屋を飛び出した。
 1階フロントに声を掛けると奥の部屋でおばさんが手招きする。恐る恐る部屋に入ると「野菜ジュースを飲みなさい。」と言ってコップに入ったジュースを手 渡された。ちょうど喉が渇いていたので有難く頂いたが、一口飲んで吐き出しそうになった。庭の雑草をミキサーに掛けた様な青汁よりエグい代物だった。部屋 の女達は私の顰めた顔を見て笑っている。「野菜ジュースは体に良いから飲みなさい。」確かに韓国語で野菜と言ったが、色と言いどう見ても雑草だ。折角の好 意を無にするといけないので残りは目を瞑って一気に飲み干した。
 おばさんに気に入られたので話しがし易くなった。慶州の地図を見せて貰って何処が見所か尋ねてみた。
「今からなら時間が有るから、仏国寺(プルグクサ)へ行ったらどうだ。」
「バスは有るか?何処から出てる?」
「ターミナル前、10番、30分。」
そう教えてくれた。
 宿を出て慶州市外バスターミナルへと向かう。途中で気付いたのだが近くに慶州高速バスターミナルも在った。江辺路と太宗路の交わる交差点に観光案内所が 在り、その観光案内所を挟む形でそれぞれのターミナルが位置している。発着するバスの行き先を観察していると市内方面は慶州市外バスターミナル向かいの江 辺路沿いに在るバス停の並びから出ている様だ。横断歩道を渡った反対側に11番のバスがやって来た。そのバス停の系統図を見ると10番が慶州駅→大陵苑→ 普門湖→仏国寺→国立慶州博物館→市内となっている。その逆回りが11番の様だ。行きは10番、帰りは11番を使うと良いだろう。
 14時30分発のバスがやって来た。バスは発車してすぐ、交差点を左へ曲がる。曲がった所が高速バスターミナル前バス停だった。おばさんが言っていたバ ス停はここだったのだ。バスは次の広い通りを左に曲がって中央市場を右に曲がる。駅から歩いて来た見覚えのある道に出た。慶州駅前を右折して月城路を進 む。駅から1qほど走ると車窓は田園風景に変わった。
 所要時間30分ほどで仏国寺に到着した。広い駐車場の角に参道が見えている。参道には露店が並び、案内が無くてもそちらが仏国寺の入り口である事が一目瞭然だ。参道を上がると仏国寺の門が見えて来た。